■みなさんありがとうありがとう、とばかり言っていても仕方ないので、自分一人でできることはどんどん進めてまいりましょう。というわけで今日は、演出のはなし。
■先日、北田さんと話した時「どんな映像が撮りたいんですか?」と訊かれて僕が答えたのは、
「いや、なんか、岩井俊二とか、相米慎二の、台風クラブの、あのラストの、光がふわぁーっと、」
■いったい何を言っているのだおまえは。
■要するに、頭の中に映像はあっても、まだそれをちゃんと言語化できていない自分がそこにいたのでした。そこで、考えました。考えて、思い出しました。自分の中に、ある明快なひとつの言葉が既に存在していたことを。それは、こうです。
「寄らば寄れ、引かば引け」
■この台詞の主は、特撮の神様と呼ばれたあの円谷英二特技監督です。僕が映画に興味を持ち始めて、おそらく一番最初に出会った「映画監督の格言」でした。その意味するところは、中途半端な画を撮ってはいけない。引くにしろ寄るにしろ、やるなら徹底的に、ということです。そして、いろんな映画を観れば観るほどその言葉の深さを実感した、僕にとって原点のような言葉です。
■迷った時、人は原点に帰る。まずはこの「寄らば寄れ、引かば引け」を宿木にして、イメージを構築していこうと思います。